歩く習慣──一歩ずつ、心と体を整える

最近、どのくらい歩いていますか?
車社会の現代では、意識しないと歩く時間がどんどん減ってしまいます。けれど、「歩くこと」は、私たちの心と体を整える、最も手軽で、最も確かな方法の一つです。
江戸時代の貝原益軒は『養生訓』にこう記しています。
「動けば、気をめぐらすべし」意訳 香月恭弘
つまり、よく歩くことによって、体内の血のめぐりを良くし、健康を保てるというのです。
歩くことは、ただの運動ではありません。
ゆっくりと歩くことで、自然の風を感じ、季節の移ろいに気づき、自分の呼吸や心の状態にも意識が向いてきます。イライラしていた気持ちが、不思議とほぐれていく。悩みごとも、歩いているうちに「まあ、なんとかなるか」と思えてくる。そんな経験、ありませんか?
私はかつてうつ病を患ったとき、治療の一環として毎日散歩を続けました。無理に元気になろうとせず、ただ「今日も歩けた」と自分を肯定する時間。それが、再び前に進む力を育ててくれたのです。
「清活習慣」における“歩く”とは、目的地へ急ぐことではなく、自分の内側と対話しながら「いまを感じて歩く」ことです。
たとえば──
・朝、家の近くを10分だけゆっくり歩いてみる
・スマホを見ず、空や木々に目を向けながら歩く
・歩きながら、今日のよかったことをひとつ思い出してみる
歩くことで、足だけでなく、心も“前へ”進んでいきます。
一歩ずつでいい。今日のあなたの歩みが、明日のあなたを整えてくれるのです。