自然とともに暮らす習慣──季節の声に耳をすます

ある春の日、ふと見上げた桜の花に「心が洗われた」と感じたことがあります。
ある秋の夕暮れ、虫の音に耳をすませながら、なぜか深く呼吸ができるようになったこともあります。
こうした体験は、私たちが本来「自然とともに生きている」存在であることを思い出させてくれます。
江戸時代の貝原益軒は『養生訓』において、こう述べています。
「四季の気候をよく察し、時に応じてこれを養うべし」意訳 香月恭弘
つまり、自然の変化に逆らわず、むしろそれに寄り添い、調和することで身体と心を養うことができる──という教えです。
現代は、冷暖房や照明、スマホの光で季節感を忘れがちな時代です。
けれど、人間の体内リズムや心の動きは、いまも自然のリズムと深く結びついています。
私が提案している「清活習慣」のなかにも、「自然を感じる時間」を大切にする工夫があります。
たとえば──
・朝、窓を開けて外の空気を深く吸いこむ
・散歩中に草花や空の色に意識を向ける
・雨音や虫の声に耳を傾ける
・旬の食材を選び、季節の恵みをいただく
これらはどれも、特別なことではありません。
しかし、日々自然に触れることは、心をゆるやかに流し、気づけば呼吸が深くなり、表情が柔らかくなるものです。
自然の営みは、無理をしません。
春には芽吹き、夏には勢いを増し、秋には実り、冬には休みます。
人の暮らしも、そうあるべきではないかと思っています。
「今日の空はどんな色か」
そんな小さな問いかけから、自然との調和が始まります。