歩く習慣──一歩一歩が心身を整える

うつ病を患っていた頃、外に出るのがとてもおっくうでした。
けれど、少しずつ気持ちが落ち着いてくると、「歩いてみようかな」という気持ちがわいてきたのです。
最初はほんの数分でしたが、それが私にとって大きな回復の一歩になりました。
『養生訓』にも、「常に身を動かし、怠らぬこと」意訳 香月恭弘 とあります。
座りっぱなしでいることは気血の流れを滞らせ、病の元になると、貝原益軒は警鐘を鳴らしています。
とくに歩くことは、年齢を問わず、自分のペースで無理なくできる最高の養生法です。
歩くことで、心臓や肺の働きが活発になり、血流もよくなります。
呼吸が深まり、思考も整理され、気分が明るくなります。
なにより、自然の中を歩くと、五感が刺激されて、心が落ち着くのを感じます。
私は、毎日15分でもいいから歩くようにしています。
目的を持ってもいいし、ぼんやり歩いてもいい。
時には立ち止まって空を見上げる。
そうした時間が、知らず知らずに心と体を整えてくれるのです。
歩くことは、ただの移動手段ではありません。
自分自身と向き合う時間であり、心の養生でもあるのです。
ぜひ今日から、「歩く習慣」を取り入れてみてください。
人生が少しずつ、でも確実に、前向きな方向へ歩き出すはずです。