手放す習慣──ため込まず、軽やかに生きる

年を重ねるほど、「手放す力」が大切になると実感します。
若い頃は「手に入れること」「抱え込むこと」が人生の中心でしたが、人生の後半は「そぎ落とすこと」「手放すこと」が、心身の健康に深く関わってきます。

養生訓の中にも、「欲を去り、思いを軽くすれば、気は自然にめぐる」という趣旨の教えがあります。
心に余計な執着や悩みがあると、体の調子にも影響する。だからこそ、気持ちを整理し、軽くしておくことが養生につながるというのです。

手放すとは、何もモノばかりではありません。
・昔の失敗や後悔
・人間関係のわだかまり
・「こうあるべきだ」という思い込み
──そういった“見えない荷物”も、私たちの心を重たくしています。

私は、ある日ノートに「今の自分に必要ないもの」を書き出し、ひとつずつ見つめていきました。
すると、案外「いらないもの」に囲まれて生きていたことに気づき、そこから少しずつ、心が軽くなっていきました。

手放すことは、諦めることではありません。
それは、自分を大切にする選択です。
荷物を下ろすと、次にどこに向かうかが見えてくる。そんなふうに、心も体も軽く、自由に生きていけるのです。