手放す習慣──執着を捨てて、心の風通しをよくする

私たちは長く生きていく中で、多くのものを手に入れてきました。
物、地位、人間関係、こだわり、そして「こうあるべき」という自分自身の思い込み。
でも、それらをずっと握りしめたままでいると、心も身体も窮屈になっていきます。
私自身、うつ病を患ったときに気づいたことがあります。
それは、「手放すことが、こんなにもラクにしてくれるのか」ということです。
過去の失敗、他人の評価、完璧主義、自分に対する厳しすぎる期待──
そうしたものを抱え込んでいたからこそ、心が苦しくなっていたのだと気づきました。
養生訓にはこうあります。
「心を静かにし、思いを乱さず、憂いをためぬことは養生の要なり」意訳 香月恭弘
この「思いを乱さず」とは、過ぎた執着や怒り、不安を手放し、心を整えるということだと、私は受け取っています。
「手放す」とは、諦めることではありません。
自分にとって本当に必要なものだけを選び直す、という積極的な行為です。
部屋の整理と同じように、心の中も時々「片づけ」てやることが大事なのです。
たとえば、人間関係。
「ずっと付き合わなければいけない」と思っていた相手と距離を置くことで、自分の心が軽くなることがあります。
あるいは、「もう○歳だから」といった年齢へのこだわりを手放すことで、人生は自由になります。
思い切って手放すことで、新しい何かが入ってくる余白が生まれます。
過去を抱えていた手をゆるめてみれば、未来の風がすっと入ってくる──
私は、そんな感覚を実際に体験してきました。
今日、もし心が重たいと感じたら、何かひとつ「手放して」みてください。
それが、清らかに活きる「清活習慣」への一歩となります。