呼吸と心の習慣──ゆっくり吸って、静かに整える

「イライラしているとき、深呼吸してみて」
──これは、私が講演のなかでよくお伝えしている言葉です。
怒り、不安、焦り。私たちの心は、日々さまざまな感情に揺さぶられています。そんなとき、まずできること。それが「呼吸を整える」ことです。
江戸時代の貝原益軒は『養生訓』の中で、「呼吸を深く静かに保ち、気を整えよ」意訳 香月恭弘 と説いています。心が乱れたとき、まず息を整えよという教えです。現代のストレスマネジメントでも、深呼吸の効果は科学的に認められています。呼吸をゆっくりと意識的に行うことで、自律神経が整い、心も次第に落ち着いてきます。
私が実践している「清活習慣」でも、呼吸はとても重要な柱です。
たとえば、朝起きたときに3回だけ、深く息を吸い、ゆっくり吐く。
また、イライラしそうなときに目を閉じて、3秒吸って、5秒かけて吐く。
それだけで、感情の波が静まり、冷静な自分を取り戻すことができます。
呼吸は、心と体をつなぐ「橋」のようなものです。浅く早い呼吸は不安を生み、深く穏やかな呼吸は安心を生みます。呼吸を変えれば、心のあり方も変わります。
毎日の生活の中で、ほんの少し「呼吸」に意識を向ける時間を持つことで、日々の暮らしが驚くほどやわらかく、静かになります。