感謝の習慣──「ありがとう」は心の栄養

日々の暮らしのなかで、どれだけ「ありがとう」と言えているでしょうか。
そして、自分が「ありがとう」と言われたとき、どれほど心が温かくなるかを思い出してみてください。

養生訓には、「喜怒哀楽の情にすぎず、心を損ずることを戒むべし」意訳　香月恭弘　とあります。
つまり、心が乱れることを避け、平らかに保つことが、体と命を守るということです。
感謝の言葉には、不思議とこの“心の平らかさ”を保つ力があります。

私がうつを経験した時期、毎日がつらく、世の中に不満ばかりを感じていました。
でもある日、ある人から言われた「今日も生きててくれて、ありがとう」の一言で涙があふれたのです。
そこから、私は「ありがとう」を意識して口に出すようになりました。

すると、自分の心がだんだんやわらかくなっていくのが分かりました。
家族、友人、自然、食べもの、季節の変化――今まで当たり前だと思っていたものすべてが、ありがたい存在だと気づかされました。

感謝は、何か特別な出来事があった時にだけ生まれるものではありません。
日々の中のほんの小さなことに「ありがとう」を見つけること。
それが、自分の心を元気にし、人との関係も円滑にしていくのです。

「ありがとう」を習慣にすれば、それは心の栄養になります。
毎日、ひとつでも多く、感謝を見つけて生きていきましょう。